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不思議コメディーと東京の風景

魔法少女ちゅうかなぱいぱい! 第12話『レイモンドとチャーハン』 ACT2

ある雪の夜、ラーメンのまま行き倒れになったレイモンドは、チャーハンに助けられた。
チャーハンはレイモンドに恋をして人間になり、レイモンドもチャーハンに促され、人間になるためにチャーハンを恋した。こうして、レイモンドは元の姿に戻ったのだった。

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板橋区徳丸5丁目にあった中華料理店の高嶺。2009年のストリートビューでは、別名義の店の営業が確認できる。現在は画像のような状態となっている。玄関マットをはっきりと見せるため、映像は道路を挟んで反対側のマンション2階から撮影されたと思われる。画像は地上階前の歩道から撮影した。

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“チャーハンがラーメンに毛布をかけ、湯たんぽとストーブで温める”場面。高嶺の店内かどうかは不明。ラーメンとチャーハンが見事な“演技”を披露する。一見の価値がある名シーン。

レイモンドとチャーハンの話をヌルハチから聞いたパイパイは、「中華魔界に帰って五目殿下のお嫁になり、玉の輿に乗るのも悪くない」と考える。パイパイは高山家にひそかに別れを告げる。そして、自転車で走るチャーハンを街で見かけた。

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板橋区徳丸4丁目の坂。前述の高嶺があった場所のすぐ近く。

道路沿いのマンションから、チャーハンめがけて植木鉢が落ちてきた。パイパイは魔法でチャーハンを救う。

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マンションとして使用されたのは、板橋区徳丸4丁目にある板橋区立徳丸けやき苑。

「自分とレイモンドは恋人だった……」と、パイパイはチャーハンに話す。重い空気がふたりを包む。

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練馬区大泉学園町6丁目にあったレストラン・サンロイヤル。画像はACT1同様、空き店舗を窓の外から撮ったもの。ガラスの反射や景色の映り込み等はご容赦願いたい。
まだ精査はしていないが、不思議コメディーシリーズのロケ地としてこの店が使用されたのは、恐らく今回が初めて。続く「魔法少女ちゅうかないぱねま!」以降の作品でも何度か使われている。

パイパイはチャーハンに「五目殿下のお嫁になる」と語り、ふたりは別れる。
その直後、チャーハンの前に五目殿下(演・石井洋祐)が出現した。実はチャーハンは、五目殿下が送り込んだスパイだった。チャーハンを利用してパイパイに自分との結婚を決意させる、という五目殿下の作戦は成功した。役目を終えたチャーハンを、五目殿下は本物のチャーハンに変え、食べ始めた。

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板橋区徳丸5丁目と6丁目をつなぐ前谷津川緑道。不思議コメディーシリーズではおなじみの場所。

食べかけのまま放置されてしまうチャーハン。それをヌルハチが見つけてパイパイに届ける。
瀕死のチャーハンは、自分は五目殿下のスパイであり、レイモンドは五目殿下の魔法で人間になったのだ、とパイパイに明かす。そして、「レイモンドは今でもパイパイを愛している」と言い残して絶命する。パイパイはチャーハンの亡骸を前に、涙を流す。

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ACT1でも紹介した杉並区和田3丁目の蚕糸の森公園。
ふたつ目のカット、チャーハンの絶命は「命の灯が消えた」としか言いようのない出来栄え。比較画像はパイパイが涙を流しているベンチのアップ……なのだが、映像で確認できる質感の違いやライティングの関係から、実際には公園ではなくスタジオで撮影されたと思われる。ここはシャレのつもりでご覧いただきたい。

【解題】
「ペットントン」第30話『横浜チャーハン物語』を嚆矢とする“無生物の生物化”は、人形が主役の「どきんちょ!ネムリン」と「勝手に!カミタマン」を経て、描写のレベルが飛躍的に向上する。本エピソードはその延長に位置すると同時に、この路線の頂点と捉えていいだろう。
そもそも「ぱいぱい」では、レイモンドがラーメンに変えられるところから物語が始まる。“無生物の悲しみ”が作品の根底にあるわけで、“チャーハンの悲劇”というエピソードが生まれたのも必然だったと言える。
“凍えたラーメンがチャーハンに介抱される”“息も絶え絶えのチャーハンが真実を語る”という映像はシュールかつコミカルで笑いを誘う反面、本物のラーメンとチャーハンが演じているからこそ説得力があるのも確か。これを仮に生身の俳優が演じていたら、完成作品ほど魅力的にはならなかったはずだ。「チャーハンが五目殿下に食べられる」という衝撃的な描写も本物であるからこそ成立する展開で、設定と映像、映像とドラマが見事に融合している。
不思議コメディーシリーズにおける無生物の演技は、一般的には色物・キワ物として扱われがちだが、ドラマと密接に連動した表現として、もっと高く評価されても良いのではないだろうか。

K12レストラン・サンロイヤル跡 
レストラン・サンロイヤル跡。映像でも印象的な白い格子の窓枠は今もそのままです。新たな店舗としてオープンした際にはぜひ訪れ、内部から撮影したいと考えています。

この項、ACT3につづく。
(文中敬称略。撮影:2018年9月&10月)

魔法少女ちゅうかなぱいぱい! 第12話『レイモンドとチャーハン』 ACT1

「魔法少女ちゅうかなぱいぱい!」第12話『レイモンドとチャーハン』(脚本:浦沢義雄 監督:坂本太郎)は、1989年4月2日に放映された。「ぱいぱい」ターニングポイントのこの回は、前半ラストを飾る秀作でもある。また、ロケ地の観点からも大変興味深いエピソードに仕上がっている。

ある日、パイパイ(演・小沢なつき)は居候している高山家の前で、レイモンド(演・新井昌和)によく似た青年を見かける。レイモンドはパイパイの恋人だったが、パイパイを花嫁にしたい五目殿下によってラーメンに姿を変えられ、中華魔界から追放されていた。パイパイはレイモンドを追って人間界にやって来たが、まだ会えていなかった。

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「ぱいぱい」と続編の「魔法少女ちゅうかないぱねま!」で高山家として使われたのは、練馬区内にあった個人宅。既に建て替えられており、建物は存在しない。現在の様子を写した上の画像には修正を施した。

「レイモンドはラーメンのままのはず」と、パイパイは考え直して彼を探すが……手がかりはまったく掴めない。

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レイモンドを探すパイパイが飛び込んだ店の数々と同地点の今の様子。いずれも板橋区内で、元の建物はすべて取り壊されている。最初の中華料理店は、「勝手に!カミタマン」でも“珍々亭”として使用された中華飯店・香楽。

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二軒目のそば屋は美可和屋。ウェブ情報によれば2012年頃まで営業していたようで、グーグルマップでも2014年までは建物を確認できる。2009年11月のストリートビュー画像を参考までに掲載しておく。

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銭湯は福徳湯。撮影スケジュールや地理的条件からここだろうと推測していたものの、なかなか確証が得られなかった。現地に赴き、近隣に長くお住まいの方に話を伺い特定できた。こちらも参考用に国土交通省国土地理院の空中写真(1975年)を掲載する。廃業からかなりの年月が経っており、跡地には画像のような住宅が並んでいる。

公園にやって来たパイパイの前を、例の青年が通りすぎていく。パイパイに気づいた青年は、なぜか逃げようとする。パイパイは後を追う。

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青年はやはりレイモンドだった。だが、何と彼はチャーハン(演・上野めぐみ)と名乗る少女と結婚していた。パイパイはショックを受けて立ち去る。

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傷心のパイパイのもとに、ヌルハチ(演・うえだ峻)が現われる。ヌルハチは五目殿下の部下でパイパイを捕えるため派遣されているのだが、パイパイの境遇には同情していた。
「レイモンドに会った」というパイパイの話を聞き、ヌルハチは驚く。

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レイモンドとの再会からヌルハチ登場までの一連のシーンは、杉並区和田3丁目の蚕糸の森公園で撮影されている。
この公園は1986年に開園し、直後に「もりもりぼっくん」のロケ地として使われた。続く「おもいっきり探偵団 覇悪怒組」では第3クールのメイン公園となり、「じゃあまん探偵団 魔隣組」でも散発的に使用される。「ぱいぱい」では第1話を皮切りに坂本監督回で多用されるが、今回限りで使われなくなる。以後、ここは不思議コメディーシリーズには出てこない。

ヌルハチはレイモンドの身辺を探る。レイモンドはチャーハンとともに、たこ焼き屋を営んでいた。

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練馬区関町北3丁目にある弁天橋とその周辺。弁天橋は武蔵関公園の入口脇にあり、すぐそばを西武新宿線が通っている。「ぱいぱい」「いぱねま」頻出のロケ地で他作品でも使われている。上の画像からは、西武線の線路内の歩道が拡張されているのが確認できる。

ヌルハチはレイモンドから事情を聴く。「チャーハンは命の恩人だ」と、レイモンドは語り始めた。

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練馬区大泉学園町6丁目にあったレストラン・サンロイヤル。2017年3月に惜しくも閉店し、その後別の店になったが、現在は再び空き店舗となっている。ヌルハチとレイモンドが座っているのは入口の先にある窓際の席と思われる。画像は店の外から窓越しに撮影した。

「ぱいぱい」では名バイプレイヤーでシリーズ常連の俳優・うえだ峻の好演が光るが、この回は特に素晴らしい。掲載したレイモンドとの会話シーンをはじめ、チャーハンの悲劇をパイパイに伝える場面やラストシーン(ともにACT3で掲載予定)における堅実な演技は、シリアスな本エピソードの引き締めに大いに貢献している。

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蚕糸の森公園。「ぱいぱい」放映から約30年、成長した樹木によって周辺建物がまったく見えなくなっています。ここは何といっても「覇悪怒組」と「ぱいぱい」での使用が印象的で、本ブログでも再び取り上げる予定です。

この項、ACT2につづく。
(文中敬称略。撮影:2018年9月&10月)

おもいっきり探偵団 覇悪怒組 第2話『ぼくらの秘密基地』 ACT3

竹林寺の地下に秘密基地を作るため、ヒロシたちは行動を開始する。

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店のフォークやスプーンを持ち出すサトル。練馬区役所裏にあったレストラン蔵の店内。

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ススムはファミコンを持参する。板橋区内、ススムの家として使用されているロケセットの前の道。

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ヒロシとタケオは粗大ごみ置き場から、まだ使えそうな電気製品をいただいていく。
中野区上高田4丁目、妙正寺川沿いの一角。上の映像で遠景に見えているのは水車橋。また、粗大ごみ置き場に接するフェンスの右側にあるのは、かつて存在した上高田四丁目公園。下の映像、ヒロシの後方に見える建物は五階建ての旧都営上高田アパート。この一帯は後に区画整理が行なわれ、公園はなくなって上高田アパートも取り壊された。跡地はひとつの区画とされ、下の画像に写っている都営上高田四丁目アパート3号棟が建てられた。
なお、「忍者キャプター」第17話でも、ほぼ同じ場所がロケ地として使用されている。その映像が、この地の特定の手がかりとなった。「キャプター」第17話は モリリンさんのブログ で詳しく取り上げられているので、併せてご参照いただきたい。

秘密基地は完成し、5人(+シンスケ)のチーム名も“おもいっきり探偵団ハード組”と決まった。ヒロシたちは意気揚々と竹林寺の石段を駆け降りる。だがそこへ、魔天郎が現われた。魔天郎はヒロシにパソコン(キーボード)を返して走り去る。ハード組は自転車で追跡する。

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板橋区徳丸3丁目、板橋区立昆虫公園の隣にある階段。つい最近改修工事が行なわれ、手すりも取り替えられた。
改修前の画像は2017年5月、改修後は2018年3月に撮影したもの。

魔天郎を追いつめるハード組。しかし、魔天郎は気球に飛び乗ると、悠然と去っていくのだった……。

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板橋区高島平9丁目。都営三田線西台駅の北側で、 「ロボット8ちゃん」第1話 でも使用された場所。
この画像はマンホールを写して雰囲気を合わせただけで、映像の撮影位置とは合致していない。雰囲気のみ味わっていただければ。

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下の映像、右側のマンションはハイラーク高島平。ここも「8ちゃん」第1話に映っている。

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ラストカットに映る二棟の建物は、都営西台アパート7号棟と8号棟。
ハード組の俯瞰とラストカットは、数年前までこの場所にあった東京都交通局志村寮4号棟の屋上、または側面の階段から撮影されたと思われる。志村寮4号棟の取り壊し直前の貴重な画像が、 モリリンさんのブログ で紹介されているので、ぜひご覧いただきたい。
映像をよく見ると、ハード組が停止した位置と魔天郎を見送る位置が変わっているとわかる。また、空を見上げたハード組の目線の先にアパートは存在しない。映像のマジック、編集の妙を堪能できるシーンである。

「8ちゃん」第2話と第3話、「覇悪怒組」第1話と第2話を手がけ、不思議コメディーシリーズの全作品を演出したただひとりの監督、佐伯孚治氏は本年1月に逝去されました。謹んで哀悼の意を表します。
(撮影:2017年5月&2018年3月)

「おもいっきり探偵団 覇悪怒組」のロケ地は、 ロケ地まち案内 主宰のモリリンさんと共同で検証・特定作業を行なっています。本項の執筆に際しては、モリリンさんのブログ記事に依るところが大きく、他にも多大なお力添えをいただきました。改めまして、お礼申し上げます。

おもいっきり探偵団 覇悪怒組 第2話『ぼくらの秘密基地』 ACT2

登校中のヒロシたちは、純子先生に花束を贈って愛の告白をする落合先生(演・秋野太作)を見かける。しかし、純子先生は魔天郎に一目惚れしていて、あっさりフラれてしまう。

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いつもの通学路である前谷津川緑道。こちらは第1話とは反対側、板橋区徳丸6丁目。

放課後、ヒロシたちはカバンを各自の自宅に置くと、竹林寺の境内に向かう。
自転車で出かけるヤスコを弟のシンスケ(演・山本亮)が目撃し、不審に感じる。

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サトル(演・中島義実)の自宅、レストラン・ボンボンは練馬区豊玉北6丁目にあったレストラン蔵。

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タケオ(演・石井孝明)が自転車で渡る橋。三秒弱の短いカットで判別は難しいが、護岸の形状や川底の露出状態と川の水量、背後に見えるコンクリートフェンスなどから、中野区江古田1丁目の江古田大橋ではないかと思われる。ただし、車道にあるはずの停止線が映像では見えないため、絶対とは言い切れない。暫定でこの場所としておきたい。
画像は新青梅街道を挟んだ江古田公園から撮影したもの。この橋で正しければ、映像もこの位置から撮られたのではないだろうか?

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ヤスコが自転車で走るのは、中野区上高田5丁目にある坂。 第1話 でヤスコが登校時に駆け降りてきた階段の反対側に当たる。
中CMの直前、映像はズームアップしてシンスケを捉えるが、画像は周辺の様子がわかるよう広めの画角にしてみた。

竹林寺。サトルの指笛で集結するヒロシたち。そこにシンスケも現われて、「僕もまぜて」とせがむ。

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再び地福寺。新しい墓石の設置等により、映像と同じように撮るのは案外難しい。

ヒロシはシンスケを帰そうと説得するが、シンスケは反抗し「パパとママに言いつけてやる」と言って逃げる。ヒロシたちはシンスケを追う。

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ふたつ目の映像、遠景に映っている高架は東武東上線。

シンスケは境内を逃げ回り、本堂の床下に潜り込む。ヒロシたちが追いつめた時、足元の地面が突然陥没し、一同はそろって地中へと落ちてしまう。そこには戦時中に使われていた防空壕の跡があった。

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本堂の建て替えにより、境内が縮小されているのがわかる。

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【シナリオと映像の差異について】
決定稿では、竹林寺で座禅を組んだ後にヒロシたちの会話のシーンがある。ヤスコはここでも「魔天郎は夢だ」と繰り返し、ヒロシと対立したまま別れる。そして翌朝、今度はヤスコが魔天郎に遭遇する。登校シーンにおけるヒロシのヤスコへの台詞「夢でも見たんじゃないの」は、この流れを受けると、より皮肉が効いているとわかる。
この回の前半パートは、映像では“ヤスコが魔天郎の存在を信じるようになっていく”という視点、すなわちヤスコの主観で撮られている。集団劇、グループ物の第2話としては間違ってないが、その描写は後半パートには継続されず、統一性にやや欠ける。一方、シナリオには“ヒロシがベッドで魔天郎のことを呟く”というシーンもあり、主人公視点の描写が全編において貫かれている(主人公の主観でストーリーを進行させるのはシナリオの基本なので、こうなるのが自然)。
今回掲載した“自転車で出かけるヤスコをシンスケが目撃する”という描写は、シナリオにはない。また、ラストシーンも、“魔天郎は竹林寺の石段の前で空へ飛び去っていく”という形で終わっている。この2シーンは、シナリオを正しく解釈した上で、映像として盛り上がるよう改変されている。
なお、竹林寺の地下での鉄兜と防空壕をめぐるやりとりは、シナリオには一切記述されていない。現場判断(恐らく監督の意図)で追加されたと思われる。

【付記】
本文でも触れましたが、“タケオが自転車で走り抜ける橋”は、まだ特定できていません。地元の図書館へ通って資料に当たり、かなりの時間をかけて調べましたが、確証は得られませんでした。この橋について何か情報をお持ちの方は、コメント欄等でご一報いただければ幸いです。

この項、ACT3につづく。
(文中敬称略。撮影:2017年5月&2018年3月)

「おもいっきり探偵団 覇悪怒組」のロケ地は、 ロケ地まち案内 主宰のモリリンさんと共同で検証・特定作業を行なっています。本項では、“タケオの橋”の検証に際し、さまざまな角度からの意見をいただきました。改めまして、お礼申し上げます。

おもいっきり探偵団 覇悪怒組 第2話『ぼくらの秘密基地』 ACT1

1987年1月18日放送の第2話『ぼくらの秘密基地』(脚本:江連卓 監督:佐伯孚治)は、前話の回想から始まる。

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重厚な“魔天郎のテーマ”が流れる中、ヒロシ(演・渡辺博貴)たちは自転車で坂道を走る。中野区江古田1丁目にある通り。野方配水塔のすぐ横で、ヒロシたちの進行方向に次のシーンの交差点がある。「覇悪怒組」撮影当時は商店や銭湯が連なっていたが、現在はマンションなどが建ち、落ち着いた住宅街となっている。

「魔天郎が現われた」と、ヤスコ(演・上野めぐみ)に話すヒロシたち。だが、ヤスコはまるで信じない。それどころか「気合を入れる必要がある」と、ヒロシたちを引っ張っていく。

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映像からもわかるように野方配水塔のすぐそば。画像の一枚目と四枚目、ヒロシたちとヤスコが会話を交わした駐車場にはアパートが建ち、配水塔がほとんど見えなくなっている。四枚目の画像は映像のカメラ位置とは若干異なるが、配水塔が見えるよう撮ってみた。なお、この二枚には加工を施してある。
二枚目の画像に写っているローソンは、近年オープンした新宿西落合三丁目店。映像とほぼ同じ2009年の情景が、ストリートビューで閲覧できる。
三枚目の画像は中野通りとの交差点で、ここが中野区と新宿区の区境に当たる。

ヒロシたちは竹林寺で座禅を組む。

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和光市白子2丁目の地福寺。映像に映っているのは建て替え前の本堂。上の画像は2018年3月、下は2017年5月に撮影したもの。

その夜、ある宝石店に魔天郎(演・春田純一)が現われる。ロケセットのこの店舗は未解明。

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翌朝。ヤスコと純子先生(演・丹保みのり=原田采知)は早朝のジョギングに出かける。

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ふたりが合流するのは、竹早小として使用されている小学校の校門前。画像との対比がわかりやすくなるよう、映像は補正し明度を少し上げている。

走っていたヤスコと純子先生は、不思議な気配を感じて立ち止まり、振り返る。
UFOを思わせる光が新宿の方向から飛来し、魔天郎の乗るオープンカーとなった。魔天郎は白いスーツの美しい青年に姿を変え、赤と白の無数の薔薇の花を投げる。夢のようなその光景に魅了されるふたり。ヤスコが掴んだ薔薇は燃え上がり、消えてしまう。

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幻想的かつ神秘的で、このエピソードの白眉とも言える名シーン。撮影場所は渋谷区西原1丁目。鉄柵の向こうに見えるのは渋谷区スポーツセンター。筆者が現地に赴いたのは2017年11月で、映像はその31年前のほぼ同じ季節に撮影されたと思われる。
このシーンでは、首を露出させた珍しい魔天郎が見られる。春田純一が素顔で出演していることから、ここで魔天郎を演じたのは恐らく同氏ではないだろう。

前夜の宝石盗難事件を知り、「俺たちは本物の魔天郎に会ったんだ」と確信するヒロシたち。駆けつけたヤスコも、早朝の不思議な体験を嬉しそうに話す。

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ススム(演・雨笠利幸)の家の前にメンバーが集まり登校する、というシーン。撮影場所は板橋区内。

魔天郎の挑戦を受けて、ヒロシたち五人は戦うことを決意する。

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中板橋商店街の中板橋中通り。第1話でヒロシたち四人が登校する場所 と同一の地点。一行が立ち止まるのは、中央市場(現・中央市場まるさと)の前。「覇悪怒組」全50話中、この商店街がロケ地として使われたのは第1話とこの第2話のみである。映像ではヒロシたちのすぐ後方に電車(東武東上線)が見えるが、実際には線路まで150メートルくらいの距離がある。

【付記】
ヤスコと純子先生が早朝の街で魔天郎に遭遇するシーンには、見どころが多い。
若干わかりづらいが、魔天郎のオープンカーの後方には、京王プラザホテルや新宿NSビルなど西新宿の高層ビル群が映っている。続く登校シーンの「新宿の方向から」というヤスコの台詞を、忠実に映像化しているのだ。
(2018.5.6追記。シナリオには「遥か彼方に副都心新宿の超高層ビル群が幻のようにそびえている」というト書きがある)
また、この場所(渋谷区西原1丁目)は新宿副都心から約1.5㎞の位置で、西新宿や北新宿に接する中野区エリアとはほぼ等距離。方角は異なるものの、副都心近隣に住む中野区民が日常目にする高層ビル群は、まさにあのサイズなのである。意図的かどうかはわからないが、ここをロケ地に選択したことで舞台の距離感のリアリティーが高まり、作品の質の向上にもつながっている。
さらに、このシーンをじっくり見ると、ヤスコと純子先生の立ち位置が細かく移動しているのがわかる。ふたりの背景はカットごとに変わり、目線とオープンカーの動きも厳密には合致していない。にもかかわらず、不自然さはまったく感じられない。立ち位置を変えながら渋谷区スポーツセンターと道路沿いの白い壁をうまく利用し、“光る薔薇の乱舞”を巧みに描写している。映像の妙・編集の妙を堪能できる素晴らしいシーンに仕上がっている。

この項、ACT2につづく。
(文中敬称略。撮影:2017年5月&11月&2018年3月)

「おもいっきり探偵団 覇悪怒組」のロケ地は、 ロケ地まち案内 主宰のモリリンさんと共同で検証・特定作業を行なっています。本項では、ヤスコと純子先生が魔天郎に遭遇するシーンの特定に際し、大変貴重な意見をいただきました。改めまして、お礼申し上げます。