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不思議コメディーと東京の風景

美少女仮面ポワトリン 第25話『てんぷら屋さんの町おこし』 ACT2

“道路工事のおじさん”に変身したユウコは、道路標識を利用してケンジを追う女の子を止める。

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最初のカット、ケンジが走っているのは練馬区上石神井3丁目のさくらの辻公園。以降は公園に隣接する松之木橋の北側、練馬区石神井台1丁目での撮影。
ACT1でも触れたように松之木橋は工事中で、現在は画像のような状況。いずれ再訪し、改めて撮影したい。

商店街の会長は、「ケンジが豚の刻参りをしようと豚のお面を買うところを見た」と、うなぎ屋に告げていた。うなぎ屋の娘はそれを聞き、父の仇を討とうとしたのだ。しかしケンジは、「豚の刻参りはやろうとしたけどやめた」と主張する。

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さくらの辻公園。遊具が取り替えられているのがわかる。

真犯人を求めてユウコは商店街を調査する。トンカツ屋に続き、うなぎ屋も休業となった。

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最初の映像でユウコが立っているのは、とんかつ味よしの前。練馬区関町北2丁目、武蔵関駅前通り商店街。
練馬区大泉町のうなぎ屋のカットに続き、うなぎ屋を見つめるユウコも武蔵関駅前通り商店街での撮影と推測するが、今のところ未解明。ここだったのでは? という場所は一応あるものの特定には至ってない。背後の建物は恐らく現存していないと思われる。

トンカツ屋とうなぎ屋の客は、すべててんぷら屋に集まっていた。商売繁盛にほくそ笑むてんぷら屋の主人。彼が商店街の会長だと知ったユウコは、てんぷら屋がすべてを仕組んでいたと気づく。

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てんぷら屋として使われたのは練馬区内にあった松八。現在は店舗ではないため詳細は控える。
ユウコが歩いてくるのは練馬区関町北2丁目、きものギャラリーふくしまの前。現在も営業を続けている。
なお、松八の所在地は関町北とは別の場所で、ユウコの視線の先に松八はない。本エピソードに登場するトンカツ屋、うなぎ屋、てんぷら屋は、それぞれ異なる地域にあったお店である。

ユウコはポワトリンに変身し、てんぷら屋に飛び込む。

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ここも練馬区関町北2丁目の武蔵関駅前通り商店街。ユウコは佐藤生花の横で変身する。画像のように同店は建物ごと消滅している。
この付近は不思議コメディーシリーズでは何度か登場する。本作の他にも「ペットントン」「勝手に!カミタマン」「じゃあまん探偵団 魔隣組」「魔法少女ちゅうかなぱいぱい!」「有言実行三姉妹シュシュトリアン」で確認できる。

クライマックスは松八の店内での撮影……なのだが、後半の2階のシーンは別の建物。不思議コメディーシリーズではよく見かける民家のロケセットで撮られたと思われる。
松八の外観は「ぱいぱい」第3話でも使われている。そちらでは“お食事処”というラーメン屋で、本エピソードに映る店内のメニュー写真もラーメンであることから、天ぷら屋の暖簾は撮影用のフェイクと考えているのだが、どうだろうか?
(松八についてご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひ情報をお寄せください)

ポワトリンの活躍により、事件は無事解決する。
「食欲わいたでしょ?」と言うユウコに対し、ミッチは「脂こすぎて胸やけが……」と苦しみ始める。ユウコはあわてて保健室に連れていく。

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ラストカットは入間市の東野高校の教室内。窓越しに見えるのは講堂。

(撮影:2018年6月&2019年1月 Special Thanks to モリリンさん = ロケ地まち案内 主宰)

美少女仮面ポワトリン 第25話『てんぷら屋さんの町おこし』 ACT1

今回も私立東野高校で撮影されたエピソードを取り上げる。1990年6月24日放映の「美少女仮面ポワトリン」第25話『てんぷら屋さんの町おこし』(脚本:浦沢義雄 監督:村山新治)。

ある日の放課後。ユウコ(演・花島優子)は「最近食欲がない」というクラスメートのミッチ(演・小禄智恵)に、“食欲の出る話”を語り始める。

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入間市の東野高校。廊下を歩いてきたユウコが入った教室で、ミッチとの会話のシーンも撮影されている。取材当日は入室が憚られる状況だったため、教室の外観を写したものを掲載した。

ユウコの弟・タクトの友だちであるケンジ(演・天間信紘)の家はトンカツ屋。ランチタイムはいつも満席だ。

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練馬区関町北2丁目、武蔵関駅前通り商店街のとんかつ味よし。今も変わらず営業中。

だが、商店街の会長は「トンカツ屋の繁盛を恨み、うなぎ屋(演・横山あきお)が鰻の刻参りを始めた」と、ケンジの両親に告げる。

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うなぎ屋が“鰻の刻参り”をする雑木林。石神井公園か秋ヶ瀬公園あたりか。現時点では未調査。
(筆者の場合、森や林は「突き止めたい」「行ってみたい」という意欲が著しく低下します……)

その夜、ケンジの両親の寝室に鰻のお化けが現われた。驚いたケンジの父は階段から転げ落ち、骨折する。
翌日、トンカツ屋は臨時休業し、客はうなぎ屋へと流れた。

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うなぎ屋は練馬区大泉町にあったうな鶴。撮影所にほど近く俳優もよく訪れる店だったようだが、現在はまったく別の業種の会社となっている。

「豚の刻参りで仕返しするしかない」というタクトの冗談を真に受けたケンジは、豚のお面を手に取る。

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練馬区関町北2丁目、武蔵関駅前通り商店街のおもちゃのやまむら。

その夜、うなぎ屋の寝室に豚のお化けが現われた。驚いたうなぎ屋は窓から飛び降り、骨折する。
翌日、ケンジのもとにうなぎ屋の娘(演・石川順子)がやって来て、鰻の串でケンジを刺そうとする。

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練馬区上石神井3丁目、さくらの辻公園と近くの歩道。女の子が駆けてくる最初のカットは公園内の遊歩道。石神井川と松之木橋の工事のため、現在は立ち入れない。

偶然通りかかったユウコは、オリュードで道路工事のおじさんに変身する。

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全オリュードの中でもベスト3に入るインパクト。このメイクと衣装、そして花島優子のにこやかな演技は非常に見ごたえがある。

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【シナリオと映像の差異について】
台詞の追加や割り振り等、主に現場判断と思われる細かな変更はいくつもあるものの、本エピソードは概ねシナリオに忠実に撮られている。ただし、オリュードは別。映像では「デン助の道路工事のおじさん」という台詞だが、「デン助の」の部分はシナリオにはない。外見に関するト書きも一切なく、一連のデン助描写は、恐らく演出サイドのアイディアによるものだろう。
クライマックスの立ち回り、これは映像では天ぷら屋の2階が舞台だが、シナリオでは「空地」と指定されている。お化けのコスチュームの種明かしをスムーズに見せるための措置だと推測する。
なお、斉木しげる演ずるハヤトのこの回の台詞は、シナリオ上ではたったひとつしかない。

この項、ACT2につづく。
(文中敬称略。撮影:2018年6月&2019年1月 Special Thanks to モリリンさん = ロケ地まち案内 主宰)

おもいっきり探偵団 覇悪怒組 第1話『怪人魔天郎現わる!』 ACT1-2

第1話、ヤスコ初登場シーンのロケ地はかつて練馬区内にあったお屋敷。
数年前に取り壊されて敷地全体が整備され、現在はご覧のような住宅が建ち並ぶ区画となっている。

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ここは第6話『透明人間』で金成千吉の家として再使用され、そちらには建物の外観も映っている。同時期の他の東映作品で使われることも多く、不思議コメディーシリーズでは「ペットントン」でも立派な建物と庭が確認できる。

(撮影:2019年2月 Special Thanks to モリリンさん = ロケ地まち案内 主宰)

魔法少女ちゅうかないぱねま! 第19話『フィクション王国』 ACT2

三兄弟はビデオやマンガに夢中のあまり、夕食も食べず夜も眠らなくなった。
イパネマは中華魔女に変身すると、魔法で三兄弟をサンレンジャーに変える。そして、架空のキャラクターが活動するフィクションの国へと連れていく。

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入間市の私立東野高校。不思議コメディーシリーズでは「おもいっきり探偵団 覇悪怒組」「じゃあまん探偵団 魔隣組」「美少女仮面ポワトリン」でも使用されているが、本エピソードがもっとも撮影範囲が広い。
なお、劇中に登場するロボ丸やペットントンたちの記述はシナリオにはない(魔天郎とジゴマは記載あり)。直前の高山家でのイパネマの台詞も、シナリオと映像では異なる。シナリオでイパネマが例に挙げているのは「桃太郎」「007」「座頭市」「フーテンの寅さん」の4人。

三兄弟は荒野で悪者と戦う。

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大里郡寄居町の大英興業。1980年代のメタルヒーローシリーズとスーパー戦隊シリーズではおなじみのアクションロケ地。地形自体の変化のため撮影地点の特定は困難だが、大体このあたりだったのではないか? と思われる画像+現在の一帯の様子がわかる画像を掲載してみた。映像と画像の向きや角度は合っていない。
(この場所については、スーパー戦隊シリーズロケ地の猛者である Ex さんより大変貴重かつ詳細なアドバイスをいただきました。ありがとうございました)

おながすいた三兄弟は中華料理店に向かう。そこには三軒茶屋そっくりのウェイトレスがいた。
フィクションの国では“映像で料理を見て食欲を満たす”のだが、納得できない三兄弟は代金を支払わず店を出る。ウェイトレスは三兄弟を追う。

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エンディングでクレジットされる吉祥寺後楽園飯店。武蔵野市吉祥寺本町のファミリープラザ内にあったが、現在はご覧のような店舗となっている。

逃げる三兄弟。だが、追い詰められた。

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再び東野高校。シナリオでは「フィクションの国・公園」と記述されている。
このシーン、池の前で立ち止まった三兄弟とモップを手に笑うウェイトレスの目線は、実はまったく合っていない。池はウェイトレスの左手側の方角にある。

中華魔女が現われ、魔法で三兄弟を危機から救う。
現実に戻った三兄弟は、何でも実際にやってみるのが大事だと学んだのだった。

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板橋区四葉の水車公園。ACT1 のファミリーマートからは徒歩4~5分の距離。
三兄弟やウェイトレスとは別の場所での撮影だが、そうとは感じさせない仕上がりになっている。校舎や橋と同じ木造建築の水車小屋、さらに池と水車という水のつながりが、“中華魔女は三兄弟の近くにいる”というイメージを喚起させる。これは映像のマジックで、ロケ地選定の妙、編集の妙が光る巧みなシーンと言えるだろう。

(撮影:2018年6月&9月&11月&12月 Special Thanks to モリリンさん = ロケ地まち案内 主宰)

魔法少女ちゅうかないぱねま! 第19話『フィクション王国』 ACT1

「魔法少女ちゅうかないぱねま!」第19話『フィクション王国』(脚本:大原清秀 監督:村山新治)は、1989年11月26日に放映されたエピソード。

ある朝、高山(演・斉木しげる)は出勤中の山田さん(演・斉藤暁)にあいさつされる。山田は高山家の隣に20年も住んでいるのだが、高山は顔を憶えていなかった。イパネマ(演・島崎和歌子)は高山を諫め、山田はムッとして歩き去る。

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練馬区内。高山家のロケセットとして使われた住宅前の道路。

高山家では、アキラ(演・湯本貴宣)・トオル(演・山中一希)・シンゴ(演・石上大輔)の三兄弟がビデオやTVゲームやマンガに熱中していた。伯母の三軒茶屋(演・柴田理恵)は嘆き、高山は三兄弟からビデオとゲームとマンガを没収する。
「捨てる前にちょっと見ておく」と、高山はビデオを視聴する。それは義明(演・家中宏)と笙子(演・藤井佳代子)による悲恋物のメロドラマだった

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30年前の感覚でも古色蒼然としていたメロドラマの舞台は、練馬区光が丘の光が丘公園。シナリオの決定稿には「神宮外苑かどこか」という記述があり、それに沿って選ばれたと思われる。
登場人物名はシナリオに準じたが、“義明”とは企画の小林義明に由来するのではないだろうか?

食い入るようにビデオを見つめる高山のもとへ、ユーフラテス(演・渡辺博貴)が現われる。ユーフラテスはイパネマと高山に、「山田さんが勤め帰りに交通事故に遭って亡くなった」と告げる。

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板橋区四葉のファミリーマート前。「魔法少女ちゅうかなぱいぱい!」第12話で パイパイがチャーハンを救った場所 はここから歩いて1~2分。映像のトラックの後方にあたる。

山田のお通夜に淡々と出席した高山は、帰宅するとすぐにメロドラマの視聴を再開し、涙を流す。
「絵空事のビデオで泣くのに現実の不幸で涙ひとつ流さないのはおかしい」と、三兄弟は高山を責める。「確かにおかしい」と考えた高山は、再びお通夜に向かう。
一方、イパネマはユーフラテスとともに事故現場を訪れる。イパネマは魔法を使い、山田を生き返らせた。

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この一帯はほとんど変化がなく、今でも「いぱねま」当時の雰囲気を味わえる。

三兄弟は高山からビデオとゲームとマンガを取り返し、再び夢中になる。
アキラがハマっているのは、“ゴレンジャーによく似たサンレンジャー(シナリオ原文ママ)”だ。

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練馬区の石神井公園。東映作品ではおなじみの場所で、野外ステージで撮られた映像を対比させた。

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【シナリオに対する考察】
これはかなり野心的・冒険的なシナリオである。たとえば前半は、通常であれば“フィクションに熱中しすぎた三兄弟が騒動を起こす”と展開しそうなところを、高山の通夜のドタバタ劇で構成している。そこから読み取れるのは、“フィクションの影響を受けるのは大人も子どもも同じ”という作り手の明確な意図だ。
1989年11月に放映された本エピソードは、10月上旬頃に撮影されたはずで、シナリオの執筆と打ち合わせは8月から9月にかけて行なわれたと推測される。1989年の8月・9月といえば、今なお社会に深い爪痕を残す連続幼女誘拐事件の全容が明らかになった時期であり、本作にも間違いなく影響を与えているだろう。
「子供がマンガやビデオを見すぎるって問題になってる(シナリオ原文ママ)」という三軒茶屋の台詞は当時の“大人”の一般的な認識だが、しかし本作では、前述の高山の描写によって「子供が」の部分をあっさりと否定してしまう。そして後半では、フィクションの国でピンチに陥った三兄弟をイパネマが助ける、という展開を見せる。
イパネマは物語の上では実在の人物だが、視聴者にとってはフィクション=絵空事であり、三兄弟の視点でストーリーを追ってきた視聴者は“イパネマというフィクション”に救われることとなる。つまり本作は、フィクション賛美の結末となっている。ところがストーリーはフィクションよりも現実を肯定・重視する方向で進んでおり、クライマックスで導かれた結論とは齟齬がある。あるいはそこまでの進行はすべて反語だったのでは? とも邪推できるが、ラストシーンのイパネマの台詞から、そのような狙いがあったとはやはり考えづらい。
要するに、このシナリオは目指したテーマと表現の間に若干の乖離があるのだ。特にイパネマが三兄弟を助けるクライマックスは問題で、フィクションの国に送られた三兄弟が“ただ懲らしめられただけ”というオチは苦しい。尺の都合もあり、やむを得なかったとは思うが、仮に“三兄弟が窮地を脱するために自発的に行動し始め、やがて現実の力を実感する”といった展開にしていれば、印象はずいぶん変わっていたはずだ。
このあたり、“フィクション”と“現実”をどう認識し、劇中でどのように扱うかという部分で、書き手が揺れているのがわかる。その揺れがうまく整理されていないため、シナリオとしての構成は不完全だと言わざるを得ない。だが、それが逆に不思議な読後感を与える結果となり、作品の魅力にもつながっている。一筋縄ではいかないこの複雑な構造は、大変興味深い。
また、本作には書き手の強い意志も感じられる。フィクションを攻撃する者とフィクションを盲信する者の双方に異議を述べたい、という書き手の欲求が強くにじみ出ている
ラストシーンの「女の子はさわるもの(シナリオ原文ママ)」という台詞など、時代背景と照らし合わせると、きわめて挑戦的でもある。そういった点も併せ、本作は作者である大原清秀の反骨精神溢れるシナリオだと言えるのではないだろうか。

この項、ACT2につづく。
(文中敬称略。撮影:2018年10月&2019年1月