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不思議コメディーと東京の風景

ロボット8ちゃん 第3話『僕は悪い子 怪ロボット』 ACT2

タケルとユメコは、バラバラマンと怪しい男が接触するのを目撃した。

ここからは後半パート。


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タケルは男を尾行し、彼が新品ロボットの販売を手がける大岩ロボット商会の主人・大岩だと突き止める。犯罪の匂いをかぎ取ったタケルは、少年パトロールのメンバーを招集する。

練馬区三原台、比丘尼(びくに)交差点での撮影。東映東京撮影所から歩いて数分の場所。


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メンバーのひとり、ヒロシ(演・実川秀和)は波止場で女の子を口説いていた。

「結婚を前提におつきあいを~」という口説き文句は浦沢脚本ならでは。“会話の途中で話し相手がいつの間にか消えている”という芝居も同様だが、この回はまだ演出がこなれていない。後期作品、たとえば「美少女仮面ポワトリン」あたりだと、毎回見事に決まる。

ロケ地は港区海岸3丁目。第1話のクライマックス の近く。画像は正確なカメラポジションを再現していないが、雰囲気を感じ取っていただきたい。画像の一番右のロードコーン付近が映像の海岸線に当たる。


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オサム(演・秋原充)は“ケンカに強くなる薬”の調合に失敗し、顔じゅう煤だらけにしてしまう。

断定はできないが、恐らく和光市下新倉の芝宮橋のたもと。荒川寄りの一画と思われる。前半パートで8ちゃんと大海が合流した場所 とほぼ同じ位置で、画像右奥の階段前あたり。映像の左側に画像の橋がある、という位置関係になる。残念ながら、今では大量のゴミが放置されている。


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最後に呼び出されたのは、ハンバーガーを食べていたフトシ(演・田中和則)。

フトシはこの回突然登場した謎のメンバー。レギュラーのコウジの代役だったのか、あるいは初期設定に存在したキャラクターなのかは不明。このシーンでは「ありがとう、ブスなお姉さん」というお礼の言葉が実にいい。

ここは練馬区東大泉にあったモスバーガー東大泉店。現在は美容室になっている。画像はその前で撮ったもので、道路を挟んで向かいにあるフルール大泉学園が映像にも映っている。


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バラバラマンと大岩が組み、春野ロボット修理店を潰そうとしている……と、推理するタケル。故障ロボットを直す大海のせいで新品のロボットが売れなくなったため、大岩は大海を恨んでいたのだ。

芝宮橋の和光側の橋脚部分。背後を流れるのは新河岸川で、上の映像で遠景に映っているのは笹目橋。現在は雑草が生い茂り、かなりのゴミが投棄されている。野良猫などもいて、足を踏み入れるには若干勇気が必要な場所である。


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大岩ロボット商会の天井裏に侵入するタケルたち。オフィスでは、バラバラマンと大岩が祝杯を上げていた。大岩は怪ロボットを使って8ちゃんの手形と足形を採取し、8ちゃんの腕の複製を造った。その腕で街のロボットを殴って壊した後で、バラバラマンがデマを広めたのだった。

斎藤晴彦と江幡高志という芸達者なふたりが缶ビールで乾杯する、という画が楽しい。

撮影が行われたのは、かつて比丘尼交差点にあった不二自動車工業の一室。この建物は「8ちゃん」放映後まもなく取り壊され、跡地にマンションのアルス石神井公園が建てられた。


タケルたちは大海や青井博士と相談し、対策を練る。そして、ある作戦を思いつく。


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バラバラマンと大岩は最後の行動に出る。8ちゃんの足の複製で街のロボットを踏み、壊そうというのだ。これで大海の店は潰れ、身元保証人を失った8ちゃんをバラバラにできる……それがバラバラマンたちの企みだった。怪ロボットはバラバラマンの逆鱗に触れて分解されてしまったため、大岩自身が計画を実行する。

昔の宇宙服のような銀のスーツにチューリップハット、抱えているのは唐草模様の風呂敷包み、というアンバランスな大岩のいでたちが、やたらと可笑しい。

ロケ地は前述の不二自動車工業の前。現在のハーレーダビッドソン練馬の店先。


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獲物のロボットを求めて大岩がやって来たのは、なぜか少々いかがわしい飲み屋街。

場所は北区赤羽、赤羽駅の近くにある路地。“ザ・昭和”といった趣きで、今も往時の雰囲気を残している。路地全体の様子がわかるよう、広めの画角の画像を掲載した。


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ひとりたたずむマイロディを見つける大岩。踏んづけてやろうと近づくが、逆に翻弄されてしまう。

ヴェールをまとったマイロディ(ご丁寧に口紅まで塗っている!)がエロ本自動販売機の前に立っている……というシチュエーションが、破天荒にして最高。銀ずくめの大岩が並ぶ画は、拍手したいくらいメチャクチャ(褒め言葉よ)である。

北区赤羽。大岩が足を踏み入れた路地の奥。映像に映っている看板のいくつかは現存しているが、廃業・閉店した店も多い模様。下の画像は映像に見える看板の位置に合わせて撮ってみた。実際に自販機があったのはもう少し手前、画像の左側で見切れているあたりと思われる。


マイロディに誘い出された大岩は、8ちゃんと少年パトロールによって“大岩ロボット商会”と刻まれた足形を装着させられる。

“こっそり足形を取り替える”というタケルたちの作戦は見事成功し、大岩の悪事が露呈する。


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翌朝。大岩ロボット商会に街の人々が押し寄せ、抗議する。大岩は慌てて店を飛び出し、逃げる。

比丘尼交差点の脇、目白通り沿い。遠景に映っているのは拡張前の関越自動車道で、貴重な映像史料である。


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大岩はバラバラマンに助けを求めるが、当然ながら拒否される。

第2話 でも使われた新河岸橋の上。板橋区側から北区側を望む。画像は橋全体がわかるものを掲載した。新河岸橋は近年架け替えられたが、アーチ橋の構造には変わりがない。


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8ちゃんの嫌疑は晴れ、春野ロボット修理店の危機も去った。街の人々に追われるバラバラマンと大岩を見て、8ちゃんとタケルたちは笑う。

新河岸橋の板橋区側のたもとでの撮影。上の映像で対岸の北区側に映っているのは、福山通運の独身寮。建て替えられて、今も同じ場所にある。下の映像の左奥に見えるのは、板橋蓮根台ダイヤモンドマンション。画像にも写っている。


【解題・その2】

マゾヒスティックな“ぶってぶってロボット”で有名な本エピソードだが、クライマックスの飲み屋街の破壊力も見逃せない。「エロ本自動販売機のそばに立つマイロディ」とは、恐らくシナリオには書かれていないはずで(書けないはずで)、現場判断であのような画になったと思われる。

撮り手のノリの良さや遊び心が感じられるこのカットは、1970年代までの同種の番組ではあり得ない描写でもある。いま振り返れば、これは80年代だからこそ可能だった表現ではないだろうか? 時代の勢いと当時の放送局の度量の広さ、そしてスタッフの自由な発想が生んだ名シーンと言える。


今回のバラバラマンは、前話とは異なり、完全な悪漢として描かれている。第1話で提示されたキャラクターに近く、そのことからも、第2話と第3話のプロット・シナリオの発注は同時に行われたと推測できる。第1話と第2話では若干希薄だった少年パトロール各人の個性も丁寧に描かれており、こちらが第2話でも十分成立したとも考えられる。もちろん、実際の放映順通り、“8ちゃんが信頼を得るまで”を描いた前話の方が、第2話にはよりふさわしいのだが。


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比丘尼交差点の今。左側のアルス石神井公園の位置に大岩ロボット商会がありました。


次回はシリーズ第7作「おもいっきり探偵団 覇悪怒組」の第1話『怪人魔天郎現わる!』を取り上げます。

(文中敬称略。撮影:2017年9月&10月&11月)


ロボット8ちゃん 第3話『僕は悪い子 怪ロボット』 ACT1

「ロボット8ちゃん」第3話『僕は悪い子 怪ロボット』(脚本:浦沢義雄 監督:佐伯孚治)は、1981年10月18日に放映された。

不思議コメディーシリーズにおけるキーパーソンのひとり、浦沢義雄が初登板したこのエピソードは、問題作であり快作である。


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“春野ロボット修理店”と刻まれた鉄板が、8ちゃんの足の裏に装着された。足にペンキを塗って歩けば、店の名が地面にスタンプされて宣伝になる、という大海(演・朝比奈尚行=現・あさひ7オユキ)のアイディアだ。

8ちゃんとタケル(演・出原健一)が歩いてくるのは港区海岸3丁目、第1話のラストカット の近く。現在は港湾関係者専用の駐車場となっていて立ち入れない。画像は画角を少し広めにして、レインボーブリッジも取り込んでみた。


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ユメコ(演・五十嵐理恵)が助けを求めて駆けてくる。ロボットにスカートをめくられたのだという。

映像の白い建物は芝浦スタジオで、第1話 にも映っている。こちらも広めの画角の画像を掲載する。


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スカートめくりをしたロボットは、「わたし、悪いロボット。だから殴って! ぶってぶって!」と、8ちゃんたちに懇願する。8ちゃんはタケルを制し、進み出る。

サブタイトルにもなった衝撃のキャラクター、“怪ロボット”の登場。スーツアクターの演技が特筆モノである。

下の画像は、レインボーブリッジ遊歩道入口と東京パイロットビルの間の道。ネットの奥に見える木立は芝浦南ふ頭公園。映像では海の部分で、レインボーブリッジ建設時に埋め立てられた土地に造られている。


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怪ロボットは8ちゃんに殴られると嬉しがり、「踏んづけて。思いっきり踏んづけて!」と続けてせがむ。踏んづけられると悶えて喜び、「殴って殴って!」と、さらに頼み込む。「気持ち悪い」とユメコは呟き、8ちゃんたちは呆れて帰宅する。

現在のレインボーブリッジのほぼ真下の位置。映像で対岸に映っているのはコンクリート会社のプラント群と第1話で使用された 港南大橋 で、この一帯はあまり変化がない。


怪ロボットの一件は、8ちゃんと春野ロボット修理店を陥れる罠だった。だが、8ちゃんたちはそのことを知らない。


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故障ロボットがたくさん出たという噂を聞き、8ちゃんと大海、タケル、ユメコが街を巡回する。

北区赤羽北の丘の上。第2話のロケ地である 赤羽北三丁目アパート の敷地内から、赤羽2丁目方面を見下ろした景観。民家の多くは建て替えられているが、当時のまま現存しているものもいくつか確認できる。


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噂通り、大勢の人々が故障したロボットを連れて集まってくる。

板橋区小豆沢、龍福寺近くの路地。放映から36年を経た現在も、ほとんど変化していない。


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バラバラスパナを片手に、8ちゃんたちを凝視するバラバラマン(演・斎藤晴彦)。

龍福寺の前での撮影。ここも時の移り変わりを感じさせない場所。


店にロボットを持ち帰った大海は、どのロボットも同じもので殴られて壊されていると気づき、不審に感じる。

青井博士の調査により、ロボットを殴ったのは8ちゃんのパンチだと判明する。だが、もちろん8ちゃんに心当たりはない。


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再び街に出た8ちゃんたちは、人々に囲まれる。街には「大海が8ちゃんに命令してロボットを破壊させた」というデマが流れていたのだ。大海は人々に引っ張られ、8ちゃんも追い回される。

板橋区小豆沢、龍福寺のそばにある寺坂の下。第2話テニスコートのロケ地である小豆沢ガーデン(現・セブンタウン小豆沢)にも近い場所。


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その一部始終を見ていたのは、バラバラマンと謎の怪しい男(演・江幡高志)、そして例の怪ロボットだった。「計画通りだ」と男は笑い、バラバラマンもほくそ笑む。

ここは寺坂の途中にある階段。現在は擁壁が延長され、階段の位置や向きも変更されている。画像に映っているマンションの建設に伴い、改修されたと思われる。


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何とか逃げ延びた大海は、8ちゃんと再会する。

和光市下新倉、新河岸川をまたぐ芝宮橋。その荒川寄りのたもとでの撮影。芝宮橋は後半パートでも出てくる。そのせいか、このシーンでは橋だと見えないよう配慮されている。画像は現在の橋の様子がわかるものを選んだ。

芝宮橋については、拙ブログでもリンクさせてもらっているモリリンさんのブログ「ロケ地まち案内」に詳しい。こちらこちら をぜひ参照していただきたい。


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疲労困憊で動けない大海を乗せ、走る8ちゃん。

アップのカットのため断言はできないが、恐らく芝宮橋の横、荒川堤防の斜面の道路で撮影されたと推測される。


【解題・その1】

1本撮りの第1話が、京浜島から和光、戸田と、かなり広い範囲で撮影されたのに対し、第2話と第3話のロケ地はコンパクトにまとめられている。赤羽北、小豆沢、新河岸橋は半径1㎞圏内だし、芝川水門橋や芝宮橋も近隣地区で、制作スケジュールの短縮に貢献したであろうことは想像に難くない。それでいて、第1話で提示された“東京の川辺の街”という作品イメージはきちんと守られているのが素晴らしい。


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放送当時のムックによれば、怪ロボットの名前は“へんてこりんロボット ぶってぶってロボット”。ボクシング用に造られた、という設定でした。


この項、ACT2につづく。
(文中敬称略。撮影:2017年8月&11月)


ロボット8ちゃん 第2話『とんでもはっぷん テニスは怖い』 ACT2

ここからは後半パート。


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「8ちゃんを返せ!」と、シュプレヒコールをあげるタケルたち。

板橋区東坂下、蓮根川と新河岸川の合流点付近を捉えた映像。左の画像は新河岸橋の板橋側のたもとから撮ったもので、階段のあたりが合流点となる。

蓮根川は大部分が暗渠となっているが、その工事は1970年代後半から80年代の初めにかけて行われた。タケルたちが立っているのは、工事用の施設・機材の上と思われる。これは蓮根川の歴史を考察する上で、価値ある映像ではないだろうか?

映像で新河岸川の向こうに見えるタンク群は、日本石油板橋油槽所。現在はカー用品を扱うカレッツァ板橋店となっている。左の画像の中央に見える長後さくら橋のたもとで撮影したのが、右の画像。タケルたちのいる場所からは、川の上流方向へ100メートルほど進んだ位置となる。


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タケルたちは8ちゃんの身を案じつつ、コウジの境遇も憂う。

タケルの背後に広がるのは、東京都下水道局用地。現在は画像のような状態で、かつての空地はさながら原生林に変貌している。


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コウジはコウジの母に雇われたテレコミーのもと、半ば監禁状態で勉強させられていた。コウジの母のねん挫は実は嘘で、8ちゃんに罪を着せるための罠であった。

北区赤羽北にある都営赤羽北三丁目アパート4号棟。その最上階の角にコウジの家がある、という設定。アパート周辺の樹木の成長が著しい。


ロボット裁判が始まり、かなりいいかげんな審理の結果、8ちゃんの有罪と死刑が確定する。


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8ちゃんはトラックで裁判所から護送され、バラバラマンが後を追う。

上下とも、北区と板橋区を結ぶ新河岸橋の上で撮った画像。上は北区浮間方面を望む。下は板橋区の志村新河岸橋交差点付近。タケルたちがシュプレヒコールをあげた場所のすぐ近くである。


コウジは8ちゃんのことが気になり、こっそりベランダから抜け出そうとしていた。そこへ、8ちゃんを乗せたトラックが通りかかる。


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バラバラマンはトラックを止め、自らの手で8ちゃんをバラバラにしようとする。それを見てほくそ笑むコウジの母。駆けつけた大海たちはバラバラマンを制そうとするが、コウジの母に阻まれる。

ここは赤羽2丁目方面を望む丘の上。都営赤羽北三丁目アパート4号棟と5号棟の裏手にあたる。


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8ちゃんたちに気づいたコウジが、ベランダから落ちそうになる。大海はコウジの母に急かされてジャンプするものの、助けるのはとても無理。

緊迫感あふれる中、朝比奈尚行のコミカルな演技が光る。フェンスの向こうの建物は、UR赤羽北二丁目団地。


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コウジの叫びで8ちゃんのレスキュー回路が起動、ヘリチョンボと合体した8ちゃんが間一髪でコウジを救う。固唾を呑んで見守っていた人々は喜び、手を叩く。

第2話の撮影は、1981年の夏の終わりに行われたと推測される。映像に映っている人々のうち、出演者と同じ長袖姿の面々はいわゆる“内トラ”で、半袖姿の方は現場に居合わせた近隣の子どもたちではないだろうか。そう思って観ると、いかにも素人っぽい仕種と表情が微笑ましく感じられる。


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コウジを抱き締めて喜び、8ちゃんに感謝するコウジの母。バラバラマンも思わず拍手しようとするが、慌ててやめる。

上はアパート敷地内の草むらで、現在は駐輪場となっている一画。下のカットの斎藤晴彦の表情と演技は絶品。ぜひ映像で確かめていただきたい。


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ロボット取締法第13条「人命を救助したロボットは死刑にすることはできない」という規定にもとづき、裁判官に電話するバラバラマン。テレコミーの後方で手持ち無沙汰にしているエバポリスの姿が、妙に面白い。

バラバラマンとテレコミーの背後に見えるのは、都営赤羽北三丁目アパート2号棟。樹木と光の加減で画像ではわかりづらいが、変わらず現存している。

(都営赤羽北三丁目アパートは、ロケ地まち案内 主宰のモリリン様に教えていただきました。ありがとうございました)


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タケルたちとユメコによる8ちゃんの胴上げで、物語は終わる。

ファーストカットと同じ港区芝浦、その夕景。映像の中央で建設中の建物は、沖電気工業ビル。


【解題・その2】

第1話で正体不明のロボットとして現われた8ちゃんが、人間=大人に信頼され、コミュニティに溶け込むまでを描いたのがこの第2話。若干ご都合主義で荒い展開ではあるが、演者たちの達者な芝居もあり、楽しく観られる一編に仕上がっている。

「8ちゃん」の序盤は、第1話でタケルとユメコ、この第2話でかすみ、次の第3話で大海がフィーチャーされ、それぞれ“8ちゃん登場”、“8ちゃんのピンチと活躍”、“春野ロボット修理店の危機”と、人物と事件がきれいに振り分けられている。当時のプロットやシナリオの発注状況は不明だが、明らかに3本1セットで考えられており、巧みなシリーズ構成と言える。


【付記】

第2話では、後半パートで出てくるロボット裁判所のロケ地が不明です。いくつかの物証から、北区か板橋区のどこかではないかと推測していますが、特定できていません。ご存知の方がいらっしゃいましたら、ご教示ください。


次回は「8ちゃん」第3話『僕は悪い子 怪ロボット』を取り上げます。

(文中敬称略。撮影:2017年8月&11月)


ロボット8ちゃん 第2話『とんでもはっぷん テニスは怖い』 ACT1

「ロボット8ちゃん」第2話『とんでもはっぷん テニスは怖い』(脚本:山崎晴哉 監督:佐伯孚治)は、1981年10月11日に放映された。このエピソードは、当時の東京と東京近郊の貴重な記録映像となっている。


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物語は早朝の街を捉えたカットから始まる。

春野ロボット修理店付近という設定のこの場所は、第1話でも使用された港区芝浦の夕凪橋界隈。画像は橋の上で撮ったもので、俯瞰の映像とは異なるが、街並みの変化は比較できる。


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朝のジョギングをする8ちゃんとかすみ(演・榊原るみ)、タケル(演・出原健一)、ユメコ(演・五十嵐理恵)。

荒川沿いの川口市河原町、芝川水門橋のそばにある新芝川排水樋管の前。物語の後半、悩むテレコミーがポストーラーと語るシーンもここで撮影されている。かすみの頭の上に見えるのは、電電公社(現・NTT東日本)川口本町ビルのアンテナ。今も同じ位置にあるが、街の高層化に伴い、一見しただけではわかりづらくなっている。


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8ちゃんをバラバラにすべく、登場するバラバラマン(演・斎藤晴彦)。“首にタオルを巻き、白いトレパンでせっせと自転車を漕ぐ”という姿が、第2話冒頭にして、早くも“憎めない悪役”と化している。

バラバラマンの背後の工場は城南製鋼所。36年前とほとんど変わらぬ状態で、現在も操業を続けている。


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堤防で体操をする8ちゃんたち。そこへバラバラマンが乱入し、8ちゃんをバラバラにしようとする。

8ちゃんの後方、荒川の向こう岸に見えるのは岩淵水門。青水門と呼ばれる新水門で、この時点では未完成。竣工は第2話撮影の翌年、1982年である。手前の河川敷は川口市河原町フットサル場として整備され、一般利用されている。


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かすみの機転により、バラバラマンも体操をするハメに。8ちゃんをバラバラにするどころか、逆にボロボロになってしまう。

上の画像で遠景に見えるのは、環七通りの鹿浜橋。下の画像は新芝川排水樋管。脚部が補強されているのがわかる。


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場面は変わり、テニスコート。8ちゃんとかすみがテニスを楽しむ。トレーニングウェアにテニスルック、さらに後半はジーンズと、この回はさながら“榊原るみのファッションショー”のようでもある。

ロケ地はかつて板橋区小豆沢にあった小豆沢ガーデンのテニスコート。現在、ここはセブンタウン小豆沢というショッピングモールになっている。テニスコートがあったのはその東端、くら寿司のあたり。

映像でコートの奥に見えるのは野球場で、そちらはニッケテニスドーム小豆沢と駐車場に変わっている。


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かすみのもとへ、コウジの母(演・岡本麗)が歩み寄る。「ロボットがテニスをやってはいけない」と主張するコウジの母と、かすみは激しく対立する。

画像はセブンタウン小豆沢の屋上駐車場で撮ったもの。同地の西にあるタカシマ志村マンションが、映像と画像の双方で確認できる。


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かすみとコウジの母のやりとりに、困惑する8ちゃん。

この画像も屋上からの撮影。映像で8ちゃんの後方に映っているマンションは、志村サンハイツ。赤い屋根が特徴的だが、現在では青く塗り替えられている。画像では、手前のハイホーム板橋小豆沢と背後の大都技研板橋工場に挟まれる形で、わずかに見えている。


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かすみは8ちゃんとペアを組み、コウジの母とダブルスで勝負する。8ちゃんの大活躍で、コウジの母は惨敗する。

掲載画像は屋上駐車場の全景。中央の奥にあるワコー第三マンションが、映像の右端に映っている。映像では、他にも隣接する小豆沢パークファミリア1号棟が確認できる。

なお、この位置にテニスコートがあったのは、1980年代の初頭まで。「8ちゃん」の撮影後ほどなくして、レストラン建設のためにコート全体が西側へ移動している。


春野ロボット修理店に戻る8ちゃんたち。テニスの一件を大海(演・朝比奈尚行=現・あさひ7オユキ)やタケルたちに話しているところへ、松葉杖をついたコウジの母が訪ねてくる。

「8ちゃんとのテニスで足をねん挫した」というコウジの母の話を聞きつけ、バラバラマンも現われる。そして、8ちゃんをバラバラにしようとする。


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ロボット取締法第5条「人を傷つけたロボットは即刻解体すべし」を根拠に、8ちゃんを執拗に追うバラバラマン。

再び港区芝浦、夕凪橋前の係留施設での1シーン。映像は施設内から撮られているが、その場所には立ち入れないので夕凪橋の上から撮影した。


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かすみの連絡を受け、マイロディとともに駆けつける青井博士(演・団次朗= 現・団時朗)。取締法第5条のただし書きを盾に、バラバラマンを止める。8ちゃんはロボット裁判で裁かれることになり、バラバラマンによって拘置される。コウジの母はコウジ(演・深田晃)を無理やり連れ帰る。

夕凪橋のたもとでの撮影。東京モノレールの直下で、上の画像の左端に映っているのがその支柱。


【解題・その1】

第2話と第3話を演出したのは、ベテランの佐伯孚治監督。第1話で小林義明監督が築いたマナーとトーンを誠実に守りつつ、大胆な作品に仕上げている。バラバラマンと大海のコミカルさ、凛とした女性としてのかすみ、頼りになるものの意外と無責任な青井博士、子どもたちの描き分けと、「8ちゃん」における人間サイドのキャラクター造形はこの2本で完成したと言っていい。

佐伯監督は不思議コメディーシリーズ全作に関わった唯一の演出家だが、残念ながら、世間的には評価されているとは言い難い。しかし、貢献度が極めて高いのは、作品をご覧になった方なら容易に理解できるはずである。

もしも佐伯監督がいなければ、このシリーズはここまで安定したクオリティを保てなかったのではないか?……個人的には、そんな風にも考えている。後期シリーズは特にそうで、機会があれば、そのあたりについても言及してみたい。


A02城南製鋼所

川口市の城南製鋼所。現地で見ると迫力満点。工場街に生まれ育った者としては、郷愁にかられる建造物でもあります。


A02セブンタウン小豆沢

セブンタウン小豆沢、地上駐車場側の出入り口。ロケ地自体は見事に消滅していますが、低層の建物のため、屋上へ上がれば第2話テニスシーンの雰囲気は味わえます。


この項、ACT2につづく。
(文中敬称略。撮影:2017年8月&10月&11月)