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不思議コメディーと東京の風景

ロボット8ちゃん 第2話『とんでもはっぷん テニスは怖い』 ACT1

「ロボット8ちゃん」第2話『とんでもはっぷん テニスは怖い』(脚本:山崎晴哉 監督:佐伯孚治)は、1981年10月11日に放映された。このエピソードは、当時の東京と東京近郊の貴重な記録映像となっている。


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物語は早朝の街を捉えたカットから始まる。

春野ロボット修理店付近という設定のこの場所は、第1話でも使用された港区芝浦の夕凪橋界隈。画像は橋の上で撮ったもので、俯瞰の映像とは異なるが、街並みの変化は比較できる。


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朝のジョギングをする8ちゃんとかすみ(演・榊原るみ)、タケル(演・出原健一)、ユメコ(演・五十嵐理恵)。

荒川沿いの川口市河原町、芝川水門橋のそばにある新芝川排水樋管の前。物語の後半、悩むテレコミーがポストーラーと語るシーンもここで撮影されている。かすみの頭の上に見えるのは、電電公社(現・NTT東日本)川口本町ビルのアンテナ。今も同じ位置にあるが、街の高層化に伴い、一見しただけではわかりづらくなっている。


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8ちゃんをバラバラにすべく、登場するバラバラマン(演・斎藤晴彦)。“首にタオルを巻き、白いトレパンでせっせと自転車を漕ぐ”という姿が、第2話冒頭にして、早くも“憎めない悪役”と化している。

バラバラマンの背後の工場は城南製鋼所。36年前とほとんど変わらぬ状態で、現在も操業を続けている。


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堤防で体操をする8ちゃんたち。そこへバラバラマンが乱入し、8ちゃんをバラバラにしようとする。

8ちゃんの後方、荒川の向こう岸に見えるのは岩淵水門。青水門と呼ばれる新水門で、この時点では未完成。竣工は第2話撮影の翌年、1982年である。手前の河川敷は川口市河原町フットサル場として整備され、一般利用されている。


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かすみの機転により、バラバラマンも体操をするハメに。8ちゃんをバラバラにするどころか、逆にボロボロになってしまう。

上の画像で遠景に見えるのは、環七通りの鹿浜橋。下の画像は新芝川排水樋管。脚部が補強されているのがわかる。


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場面は変わり、テニスコート。8ちゃんとかすみがテニスを楽しむ。トレーニングウェアにテニスルック、さらに後半はジーンズと、この回はさながら“榊原るみのファッションショー”のようでもある。

ロケ地はかつて板橋区小豆沢にあった小豆沢ガーデンのテニスコート。現在、ここはセブンタウン小豆沢というショッピングモールになっている。テニスコートがあったのはその東端、くら寿司のあたり。

映像でコートの奥に見えるのは野球場で、そちらはニッケテニスドーム小豆沢と駐車場に変わっている。


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かすみのもとへ、コウジの母(演・岡本麗)が歩み寄る。「ロボットがテニスをやってはいけない」と主張するコウジの母と、かすみは激しく対立する。

画像はセブンタウン小豆沢の屋上駐車場で撮ったもの。同地の西にあるタカシマ志村マンションが、映像と画像の双方で確認できる。


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かすみとコウジの母のやりとりに、困惑する8ちゃん。

この画像も屋上からの撮影。映像で8ちゃんの後方に映っているマンションは、志村サンハイツ。赤い屋根が特徴的だが、現在では青く塗り替えられている。画像では、手前のハイホーム板橋小豆沢と背後の大都技研板橋工場に挟まれる形で、わずかに見えている。


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かすみは8ちゃんとペアを組み、コウジの母とダブルスで勝負する。8ちゃんの大活躍で、コウジの母は惨敗する。

掲載画像は屋上駐車場の全景。中央の奥にあるワコー第三マンションが、映像の右端に映っている。映像では、他にも隣接する小豆沢パークファミリア1号棟が確認できる。

なお、この位置にテニスコートがあったのは、1980年代の初頭まで。「8ちゃん」の撮影後ほどなくして、レストラン建設のためにコート全体が西側へ移動している。


春野ロボット修理店に戻る8ちゃんたち。テニスの一件を大海(演・朝比奈尚行=現・あさひ7オユキ)やタケルたちに話しているところへ、松葉杖をついたコウジの母が訪ねてくる。

「8ちゃんとのテニスで足をねん挫した」というコウジの母の話を聞きつけ、バラバラマンも現われる。そして、8ちゃんをバラバラにしようとする。


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ロボット取締法第5条「人を傷つけたロボットは即刻解体すべし」を根拠に、8ちゃんを執拗に追うバラバラマン。

再び港区芝浦、夕凪橋前の係留施設での1シーン。映像は施設内から撮られているが、その場所には立ち入れないので夕凪橋の上から撮影した。


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かすみの連絡を受け、マイロディとともに駆けつける青井博士(演・団次朗= 現・団時朗)。取締法第5条のただし書きを盾に、バラバラマンを止める。8ちゃんはロボット裁判で裁かれることになり、バラバラマンによって拘置される。コウジの母はコウジ(演・深田晃)を無理やり連れ帰る。

夕凪橋のたもとでの撮影。東京モノレールの直下で、上の画像の左端に映っているのがその支柱。


【解題・その1】

第2話と第3話を演出したのは、ベテランの佐伯孚治監督。第1話で小林義明監督が築いたマナーとトーンを誠実に守りつつ、大胆な作品に仕上げている。バラバラマンと大海のコミカルさ、凛とした女性としてのかすみ、頼りになるものの意外と無責任な青井博士、子どもたちの描き分けと、「8ちゃん」における人間サイドのキャラクター造形はこの2本で完成したと言っていい。

佐伯監督は不思議コメディーシリーズ全作に関わった唯一の演出家だが、残念ながら、世間的には評価されているとは言い難い。しかし、貢献度が極めて高いのは、作品をご覧になった方なら容易に理解できるはずである。

もしも佐伯監督がいなければ、このシリーズはここまで安定したクオリティを保てなかったのではないか?……個人的には、そんな風にも考えている。後期シリーズは特にそうで、機会があれば、そのあたりについても言及してみたい。


A02城南製鋼所

川口市の城南製鋼所。現地で見ると迫力満点。工場街に生まれ育った者としては、郷愁にかられる建造物でもあります。


A02セブンタウン小豆沢

セブンタウン小豆沢、地上駐車場側の出入り口。ロケ地自体は見事に消滅していますが、低層の建物のため、屋上へ上がれば第2話テニスシーンの雰囲気は味わえます。


この項、ACT2につづく。
(文中敬称略。撮影:2017年8月&10月&11月)


コメント

いいですね

ボクもかつて川口に住んでいたので、あの鉄鉱所の写真には驚いた。昔でこそ鉄の街というイメージがあったけど、(その頃は駅前にそういう看板があった)今ではその雰囲気はほとんど残ってないと思っていた。でもちゃんとあるのね。しかも昔の方がちゃんと手すりがあるのに今はない。
あと、夕凪橋はいいですね。昔とほとんど変わらない。
また、新たなご報告を楽しみにしております。

  • 2017/11/06(月) 10:27:53 |
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  • よね #-
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Re: いいですね

よね様

コメントいただき、ありがとうございます。
この2話と続く3話は2本撮りなんですが、ロケ地の選定が素晴らしいです(しかも範囲が非常に狭く、撮影期間の短縮に貢献している)。
本文でも触れた「貴重な記録映像」、2話の後半では、“よく考えると歴史的な価値が高い”カットも出てきます。

2話と3話は取材と撮影がほぼ終わっていて、今月は毎週更新する予定なので、おヒマな時にまたご覧ください。

  • 2017/11/06(月) 13:15:41 |
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  • F #-
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何処か切ない・・・

桟橋、製鋼所など、昭和初期、或いはそれ以前に作られたものは現存。
一方、後年に作られたであろうテニスコートが姿を消している・・・。
何処か切ない風景変遷ですね。
2020年を境に、人為的な新陳代謝は更に進むでしょうし、切なさを感じる機会は間違いなく増えると思います。

更新、楽しみにしています!

  • 2017/11/11(土) 23:04:08 |
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  • hide男 #-
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Re: 何処か切ない・・・

hide男さま

小豆沢ガーデン、当初は皆目見当がつかず……第3話のあるシーンが特定できたと同時に、あっという間にわかりました。
姿を消した施設、この回だと、後半パートで登場する新河岸橋も架け替えられています。
新河岸橋は続く第3話でよりはっきりと映るので、そちらで言及する予定です。

静止画像だとわかりづらいんですが、第2話と第3話はいかにも“昭和”で味があります。
また、佐伯監督の街の切り取り方や見せ方は、僕の感性に物凄くフィットしていまして。
「覇悪怒組」や「魔隣組」は佐伯監督以外の方が第1話を撮っていたら、全然違った雰囲気になった気がします。

貴ブログの最新記事、面白いですね。
あのような切り口、また時折やってください。と同時に、スタジオの詳細な検証もお願いします。
柱の傷、板壁の木目、カーテンの柄からのロケ地検証・特定はもうたまりません。最高です。
僕の方も、貴ブログの更新を楽しみにしています!

  • 2017/11/12(日) 10:32:06 |
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